アーク溶接、半自動溶接、TIG溶接などに必要な道工具の名称や用途。一通り必要なものとあったら便利なもの、なくてもいいんだけどあると便利なもの紹介。用途に適した工具があるのと無いのじゃ大違いですので、初心者の方は参考までにご覧ください。
溶接機
これがなくては始まりません。とは言えいろんな種類の溶接機がありますので、まず最初で悩みます。「直流」「交流」「ノンガス」の3種類があり、それぞれに100V、200Vなど…に分かれます
直流インバータ溶接機の特徴は、安定性&コンパクトです。直流でアークの安定性があり、初心者にもあつかいやすいです。通常のアーク溶接機は「交流」ですが、直流は「交流→直流」へ構造を変換しています。
交流アーク溶接機の特徴は、コスパ&シンプル構造です。コストパフォーマンスが良く、シンプルな構造となっています。そのためメンテナンスがカンタンです。デメリットは、アークが不安定で作業に影響が出る可能性があることです。初心者の方にとって、とりあつかいがムズかしいケースもあります。
ノンガス半自動溶接機の特徴は、作業性UP &ガス不要です。基本、アーク溶接機を使用するときは溶接棒を溶かして作業をします。そのため作業中に、何回か部材を手動で変更しなければいけません。しかし「ノンガス半自動溶接機」の場合、スイッチを押すと自動的に溶接ガンから部材が出まから作業効率が良く、手動で交換する手間がありません。またガスを使わずに作業ができるため、ガスの準備も不要です。
溶接の種類によってトーチやホルダーなども変わります。
いままで高価で手を出しづらかったインバーター搭載機が、最近では【アーク】【半自動】【TIG】が1台3役使えるのに安く販売されるようになってきたので嬉しいです。買って試してみましたが、扱いやすくてDIYでは十分すぎるほどの性能だと感じています
アーク溶接
アーク溶接ホルダ
アーク溶接棒
溶接機本体から伸びているトーチに取り付けて、溶接したい場所にコンコンと擦り付けてアークスタートします。
アークスタートですが、溶接棒が母材に引っ付こうとしてしまうので、初心者には難しいかもしれません。アークで母材と同時に溶接棒も溶かしながら溶接するため、頻繁に溶接棒を交換する必要があります。
アーク溶接機はもちろん、TIG溶接機や半自動溶接機にも基本的に付随する機能の一つです。ホルダ部分にアーク溶接棒を挟んで溶接します。ガスを使わないので風の影響を受けないので屋外で使われることが多いです
仕組みが単純なため、溶接機本体は比較的安価でコンパクトな物が多く、ホームセンターなどに売ってあるので手に入れるまではハードルが低めですが、なかなか難易度が高く、家庭用100Vでは厚板の溶接は出力的に難しい反面、薄板はその運棒の難しさからすぐに穴が空いてしまうので作溶接自体の難易度は高めだと言えます
デメリットとしては、1・溶接後にはフラックス(黒皮のようなもの)が被っているので、それをチッピングハンマーなどで剥がす必要があります。2・長い距離を作業する場合溶接棒を頻繁に追加しまくてはいけない煩わしさがあります。
半自動溶接
半自動溶接トーチ
溶接ワイヤー
半自動溶接用のトーチの内部を溶接ワイヤーが通って先端から飛び出したワイヤーの先で溶接をします。ワイヤー送りが自動な事やスイッチを押したら溶接が始まるという手軽さから、未経験者にも比較的扱いやすい機械です。通常、半自動溶接では、溶接部を保護するために炭酸ガスなどを使いますが、フラックス入りワイヤーを使う事で、ガスを準備しなくても溶接が可能となります。
溶接部の仕上がりはノンガス≦炭酸ガス<混合ガス<アルゴン100%(アルミ用)の順番でキレイになります。
この使用するガスの種類によって、MIG溶接(アルゴン)、MAG溶接(混合ガス)、CO2溶接(炭酸ガス)などと言い方が変わってきます。
デメリットとしては、1・溶接中はどうしてもスパッタが出て周囲にこびりついてしまいます。2・トーチの長さが他の溶接方法と比べて制限されるなどです。
TIG溶接
TIG溶接トーチ
溶接棒
アルゴンガス
トーチ先端のタングステン電極から発生する高温のアーク光を、母材に当てる事で溶かして液体にし、金属同士をくっつけるような溶接方法です。半自動溶接やアーク溶接とは異なり、タングステン電極は溶ける事無くアークを発生させる為、母材同士を溶かして溶接する「ナメ付け」もできます。
TIG溶接の一番の利点は仕上がりがキレイな事です。音も静かで、火花も飛びません。また、シールドガスは必ず必要ですが、使用するアルゴンガスも人体に無害の不活性ガスな為、危険性もありません。
TIG溶接に必要なトーチ。基本的に空冷ですが高い電流で溶接を続けたら熱くて持てなくなるので、物によって水冷トーチ(WT-TIG320S)もあります。
デメリットとしては、1・薄物の溶接では穴が空きやすく、溶接棒を入れる場合はトーチと溶接棒を片腕ずつに持って溶接する必要があります。2・半自動溶接と比べると溶接スピードが遅く、溶接物の隙間にも敏感で、大雑把にガンガンくっつけていくような溶接個所には向きません。
必要なもの
アースケーブル
各種溶接機で使われているアース線です。母材に直接or溶接台に挟んでアースを取ります。塗装やアルマイトがかかっていると通電せず溶接できません
溶接面
溶接時に飛び散る火花や有害な光などから目を守るマスクです。また、溶接者の顔の肌を守る役割もあります。
換気
道具ではありませんが、換気設備というべきでしょうか…アーク溶接は粉塵作業となりますので作業場の換気は十分注意してください。工場などでの設備では、局所排気装置やプッシュプル型換気装置等、作業環境の規定も厳しいです。
防塵マスク
溶接ヒュームから肺を守ります。長期間ヒュームを吸い続けると、「じん肺」という病気になるリスクがあります。また、亜鉛メッキされた母材(例えば単管パイプ)を溶接する際にメッキの成分が糸状になって宙に舞い、それを吸ってしまうと頭痛がしたりと即体調不良になります。呼吸用保護具の着用が義務付けられていてその規格にも厳しい設定があります。
作業着
溶接の際は燃えにくい綿100%の物が望ましいです。特に半自動溶接はスパッタが飛びますので、シャカシャカ系の衣類で溶接するとすぐに穴が空いてしまいます。また、熱いからといって長時間半袖で溶接していると、腕が日焼けして真っ赤になってしまいますのでご注意ください。
チッピングハンマー
主にアーク溶接で溶接後のビードに覆いかぶさっているフラックスをはつる際に使います
防火手袋
半自動の時はスパッタが飛んでくるので、手首まで覆える長い物を使用した方がいいと思います
グラインダー
先端工具の砥石や刃物を換えることで、金属やコンクリートの研磨、研削、切断と幅広く活躍する定番の電動工具です。切断砥石を取り付けることで、高速切断機と同様に金属系の切断ができます。とにかく多用します。既設の構造物に対しても支障なく使用できます。持ち運びが前提で、研削・研磨もしたい場合はこちらを選びましょう
ワイヤーブラシ
溶接前の母材をこすって掃除したり、溶接後のビードを磨いたりと頻繁に使います。鉄のブラシだと錆が母材に乗り移るので、ステンレスブラシがオススメです。チッピングハンマーと表裏になっているものもよく見かけます
あったら便利、、とういか是非とも手に入れたいもの
革エプロン
火花をガードするためにあると良いです。こちらも革素材のものが多い。
作業台
ある程度どっしりとした物で溶接で使用する作業台は常時アースが取れるよう、鉄の1枚板にする事をオススメします。
バイス
材を挟んで固定してます。固定した物は何かしら力をかけることになるので、重量があってガッシリした作業台に固定する必要があります。
マグネットホルダー
鉄のアングルや角パイプを簡易的に固定したい時に使います。
しっかりと固定することで、溶接の際に発生する歪を抑えるものます。用途によって形もサイズも多種多様です
ロッキングプライヤー
固定できるペンチみたいなものです。結構な力でホールドします
缶スプレー類
パーツクリーナー、シリコンオフ、防錆潤滑スプレー、スプレーシンナー、ガスバーナー
スパッタ付着防止剤
溶接時にスパッタという、つぶつぶ(ワイヤーが溶けて出ます)状の細かい金属がくっつきにくくするもの
なくてもなんとかなるけど、あると便利なもの
折り畳み作業台
メインで作っているもののサイドパーツをちょこっと作るのに便利です
プラズマ切断用作業台
板を大雑把に切りる時など切断用の台があると粉塵が舞いにくくなります。下に落ちた切り屑は捨てやすいようになっています
バンドソー
バンドソーとは、帯(バンド)状の刃(ソー)を回転させて切断を行う電動工具の総称です。刃を用いる切断工具で一方向への回転運動によって切断を行うため、切断工具の中でも切断能力が高く、効率的に切断作業ができます。パイプやアングル、小さい平板等を切る時はこれです。音が静かで切りしろも1mm程度、力も要らないので楽です。角度切りもできます。
チッソーカッター
同じような材を切る機能のディスクグラインダーや高速切断機と比べると「火花が少なく、切断スピードが速く、切断する際の音が小さい、切断面がキレイ」という強みがあります。火気厳禁な場所での作業に使用されることが多いです。デメリットとしては、ノコ刃などの消耗品にかかる費用(ランニングコスト)が高く、また焼き入れ鋼などには使用できないという側面もあります。
高速切断機
ステンレス・一般鋼材・鋳鋼・鋳物・ワイヤーロープなどを、切断砥石を用いて高速で切断する機械です。同様に切断砥石を用いて切断を行うディスクグラインダーと比べて切断時間が早く、切断物をバイス(固定具)で挟んで作業を行うので高い切断精度があります。径305mm以上の切断砥石を使って切断するためため、大きい材料でも素早く切断することが出来ます
ベンチグラインダ
大半はグラインダーで間に合いますが、こちらは固定されているので、削る物が細かくて数がある場合は、両手で母材を持って削れるので良いです。
ベルトサンダー
真ん中付近は紙ヤスリの裏側に平坦な当て板がありますので、そこで平面に削れます。また、丸く削りたい時は横のR部分を使って削ります。
上記種以外の溶接
以下の溶接機に関しては以降補完していきます
スポット溶接
L型の端子で金属を挟み込み、大電流を流して溶接する方法です。薄板同士の接合に最適で、ものの2-3秒で溶接できてしまいます。ただし、その形状から溶接できる物は限定されますので、使う用途がピンポイントで定まっていないと、宝の持ち腐れとなる事間違いなしです。
ガス溶接
アセチレンと酸素を使って高温の炎を作り出し、その熱で金属を溶かします。アセチレンは引火性があり、一歩間違えば大事故に発展しますので、十分に注意が必要になります。